肉体と精神が別物であるということは大抵の人が知っているが、こういうことになると改めて思い知らされる。
この病気というか症状は最近里で流行っていたようだが、よもやこの病気に結構前にかかっていた者が居るなど殆どのやつが知らないだろう。
線の細い身体。
柔らかな肉がついた重たい身体。
―――要は女体といわれるのもので、男に生まれた俺は一生体験するはずのない身体にまたなっていたのだった。
重たい。動きにくい。
あの時もそう思ったが、いざなってみるとあまりの身体の動きにくさに驚きを禁じえない。
もともと男だったものが女になったせいか余計にそう感じる。
現実逃避に近いが、世の女性たちに少しばかりの尊敬を抱いてしまうほどに。
自分の身体の違和感に精神がついていかない。
ついでに『戦いにくそうだ』とか思ってしまうあたりは自分らしいと思うけれど。
はてさて、どうしたものか・・・。
正しい戻り方というものがあるとするなら、自分は其れを知らない。
しかし、戻り方というのなら嫌というほど知っている。
というか、覚えている。
前は問答無用に訳のわからぬままだったが、今思い返せばアレで戻ったのだろう。
はた迷惑というかお節介というか、アレは親切とかではなくて強姦に近かったが、あれはあれで都合が良かった。
羞恥心など感じる暇がなかったし。
無意識に首の傷を撫でる。
あの人はもう居ない。
そのことに何の哀愁も沸かないわけではないが、この状態をどうにかしたいという感情の方が勝っている自分は結構冷たい奴なのかもしれない。
盛大なため息が宙に浮いて消えた。
正直このままでは恥ずかしい。
何に対する羞恥なのかは不明だが、かなり居心地が悪い。
三十路すぎた男が、起きたら女に変わってましたなんて茶番も良いところである。
まあ、だからといって二十代でなったときは良かったのかといわれればそうではないのだけれど。
起きたといっても任務のせいで寝たのが今日の昼前だったため、今はもう月が昇っているような時間帯。
上手くいけば行為をする相手以外誰にも見られないかもしれない。
この醜態はできるならば誰にも見せたくはないのだが・・・。
此処で問題が一つ。
・・・・・・・・・誰のところに向かうか。
布団にもぐりこんで考える。
いつもは無い胸が無駄に存在を主張して余計になんともいえない気分になる。
自分の友好関係の狭さのせいで顔があまり浮かばない。
年下のものにしてもらうくらいなら其処らにいる夜盗どもに廻されるほうがよっぽどマシで、某色魔はできるならばさけたい。
しかし、自分よりも年上の男となるとかなり幅が狭くなってくる。
・・・・・・・しかも思いついた顔が竹馬の友だけというのはどうなのだろうか。
一刻ほど後、誰にも見られないように闇夜に飛び出した影があった。
――――――本当に茶番だ。
世界が自分を笑っているような気がする。
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自分のなかで未消化でなんか未練がましくなってたので少しだけ書いてみました。
あまりの文才の無さに涙が出てきます。
オチてないとか、結局どうなったのとか言わないでください。
所詮自己満足なしろものですので、私の駄文で克さんを汚したくないんです。
気が向いたら続きを書くかもしれませんが・・・・。
兎に角、忘れてください。。
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