おお、本当に10回くらい続いてる(笑)
本当に雪兎さんの比じゃなかったな・・・。
暁さんの『告げられた想い』の続きです。
ああ、怖いなぁ。
小生は私に誓った。
限りなく惨めで、容赦なく情けなく、勝手極まりなく、思い込みも甚だしく、自己満足でしかなく、自己陶酔に近い感情を持ってして
―――己が死をもってして始めて、自分の幸福を願えるような存在でいようと
そんな、そんな、そんな、人間でいようと誓った。
私は私がやってきたことを許せないのだから。
資格が無い、という言い方で片付けていたが、結局私は私を許せていないのだ。
そして、今も、許せては、いない。
けれど、でも、しかし―――総ての逆接を使ってもこの感情はあまりあまる。
許されてしまった。
兄妹というには馴れ馴れしくない。
幼馴染というには齢が行き過ぎていたかもしれない。
友達というには惹かれすぎていた。
そんな、人に許されてしまった。
怖い。
そんな、自分を自分で見捨ててしまったような、愚かという言葉すら投げつけるのもためらわれるような、道化のような存在でも、許されてしまう。
そんな世界が怖い。
『幸せに、なってしまえばいいのに』
貴兄にだけは絶対言われたくありません。
貴方には聞こえていないでしょう?
腹なのかでいつも聞こえているこの声。
『生きたかった』と叫ぶような、呻くような、無数の人々の悲鳴が、聞こえないでしょう?
でも、まぁ――――小娘だったことは認めなくもないですよ。
殻にひびが入る。
松虫の台詞が終わらないうちに戸を勢いよく開ける。
いきなり出てきたことに驚いたのか、目を見開いたまま口を鯉のようにパクパクさせている松虫の顔を凝視してみた。
何か言うのかと思って少し間をおいてみたが、結局何も口からは出てこなかったので、松虫の触覚を、つかんで、部屋の中に引きずり込んでみた。
「いっ・・・・!」
意外と身長の高い松虫が小さな戸に頭をぶつけたことはご愛嬌としておく。
「何すんだ!!」
「こういうことを、話すのに相手の顔を見ないで、というのはどうかと思いまして」
私の顔を見るなり松虫の顔が変わる。心底心配そうな、痛そうな顔に。
ああ、今の私の顔はひどいだろうな。
「・・・・・馬鹿」
力なく私のことを思って出された声が、耳の傷にしみた。
おそらく強く握り締めたときに流血してしまったのだろう。
触ろうとした松虫の手を、反射的に両手でつかむ。
「小生は私を許せません」
また独白。
「やっぱりすぐに許せるものでも、ないんです。許そうとも思えない」
よく見ると、松虫の手も流血していて。
「けれどね。松虫、貴兄は、私を許すといった」
いつも見ている赤色なのに
「それでも貴兄は見捨てないと、いった」
それすらとても愛おしいと感じる貴方が許すなら。
「だから、どうにか、やっと、貴方が許してくれている間は、
小生を許してもいいかとも思えたんです」
その手にすがるように頭を垂れた私は、どんな表情だったかわからない。
どろりと生まれでた想い。
まだ、私の中で居場所の無い想い。
居心地が悪くて吐き気がするくらい今の私には重いけれど。
今は許そう。
私の幸せを貴方のために。
「松虫。貴兄をお慕いしております」
ねえ、貴兄の想いにすがることでしか許すことができない『私』です。
「許してくれてありがとう」
産声は涙と共に流れ出た。
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此処までくるのに11回も蜜蟻を死なせていたという事実に泣けてきました。
ようやく!!ああ!!!此処まで長かった!!(涙)
もう、疲れました。あとは、娘に任せます。